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メッセージ登録日: 2004/09/27
☆♪☆♪☆ 貧乏と、飢えと疲れとケジラミと ☆♪☆
その怪物を退治する者、モンスター・スレイヤーは、
太陽とチェンジング・ウーマンの間に生まれた火の神と水の神の双子の兄弟の
うち、水の神の方だった。
彼がこの地球にいろいろな生物が棲めるように準備を整えたのだ。
彼は、ありとあらゆる怪物を退治した。
その中には人間を苦しめる怪物も全部含まれていた。
人間の生命を脅かすような、人間を食べてしまうような怪物は、何とか全部や
っつけたぞとある時彼は思った。

やれやれ、これで役目も終わった。 わたしも家に帰れるぞ。

彼の家はディネ(ナバホ)がはじめてこの世界にやってきた小さなメサ(台
地)の上にあった。
家に帰る途中、しかい彼の前に立ち塞がった者があったのだ。
思わず彼はこう言った。
「おかしいな。人間の敵はことごとくやっつけたはずなのに。
お前はまだ生きている。いったいどこで仕損じたものか?」
やがて彼はそれが「貧乏」という怪物であることを知るのだ。
貧乏は言った。
「息子よ、頼む。わたしはここで殺されたくない。
よいか、お前がわたしを殺せば、それで人間もおしまいになる。
お前は本当に必要なものを知ることもない。
お互い同士が必要としていることも知ることなく、自分や他人のために何かを
してあげたくてうずうずすることもない。
だからこそ、わたしはここにいなくてはならないのだ。
わたしがいればこそ、人は互いに思いやりをもつようにもなるはずだ。
そこには必要がある。必要だと思う気持が必要なのだ。
自分のために何かをしたいとうずうずしたり、お前のまわりにいる者に何かを
あげたいと思う気持があるだろう。
なぜなら、お前は人間であり、人間である限り何かを必要とするからな。
お前の履いているモカシンだっていつかは擦り切れる。
そうなったらお前は新しいモカシンが必要になるだろう。
この何かを必要だと思う気持が、お前の心のなかでやがて大きくなって、自分
にとって必要なものを手に入れなくてはならなくなったり、他の人が必要なも
のを探してあげたりしなくてはすまなくなるのだからな。
だから、今ここでお前がわたしを殺せば、お前たち人間はもはや仲間を思いや
ることもなければ、自分のことを気にもかけない、あの、他の動物たちとなに
もかわらない世界で暮らさなくてはならなくなる。
お前は、一人の人間として、どうあってもわたしを生かしておかなくてはなら
ないのだ。しかし、お前が生かしておかなくてはならないわたしのような怪物
は、わたし一人ではない。わたしのような怪物は全部で四人いるからな」

こう言われて彼はその、最初に会うことになった四人のうちの一人、貧乏とい
う怪物を殺すことをやめたんだ。
『貧乏』言い換えれば『何かを必要だと思う気持』そうして
『何かを欲しいと思う気持』の怪物は、かくして殺されることを免れた。
人が謙虚になって、自分同様他人が何を必要としているかを常に気にかけるよ
うになるためには、どうしてもそれが必要だと、あの時彼は判断したのだ。

ところがしばらく行くと、
先ほどの怪物が言ったとおり彼はまた別の怪物に出会った。
それは二番目の怪物だった。
太陽の神の血を引くその少年に
「この地球の上にいた人間を殺す怪物は皆ことごとく退治したはずなのに、
どうやらお前はまだ息をしているらしいな」
そう言われた怪物も、最初の怪物同様
「殺されたくない」と返事をした。
「わたしが殺されたくないのは、わたしにはあなたと共に生きてやらなくては
ならないはっきりとした目的があるからです」 と言う。
少年にはそれが「飢え」と呼ばれる怪物であることがわかった。
その怪物はもったいぶって言葉を続けた。
「もしわたしがいなかったら、いったい誰があなたの胃袋を慰めるのですか?
それだけでも生かしておいたほうがいいのではありませんか。
お腹のなかが空っぽになったら、あなたは、ああお腹が減ったなと感じるはず
です。何かが食べたいな、どうやって食べるものを得ようかなと、だんだん考
えが拡がっていくでしょう。
あなたはよく働くようになり、怠け者でいることをやめるに違いありません。
家の中に閉じこもってばかりいる怠け者だって、外に出て獲物を狩りに行く
か、食べられるものを摘みに野原に出るようになるのです。
わたしにはあなたがた人間と一緒に生きていかなくてはならない明確な目的
が、ご覧のようにあるのです」
こうしてその『飢え』なる怪物もまた、命を助けられることになった。
彼に命請いをして救われた二番目の、それは怪物だった。
『飢え』なる怪物も、殺されなかったのだ。
『飢え』のスピリットは破壊されなかった。

よいかね、わしらを何とか働かせておくために「飢え」なる怪物は地上に残さ
れたんだよ。

さて、少年がさらに歩いていくと
そこでまた別の人間みたいな怪物と出会った。
三番目の怪物だ。
彼は最初の怪物にも言ったし、二番目の怪物にも言ったのと同じ質問を投げか
けた。
「人間の敵は全部やっつけたはずなのに、お前はまだそこにいたのか?もう勘
弁ならん」
それは人間のような形をした『疲れ』の怪物だった。
わしらは毎晩眠らなくてはならない。
万が一にもスピリットの世界のことを忘れないためにも、眠ることは何として
も必要だった。
そのためにはどうしても良い健康状態で眠らなくてはならない。
疲れの怪物は言ったものだ。
「もしわたしを殺したとしたら、あなたがたは二度と休息を取ることができな
いでしょう。
あなたがたは毎晩きちんと寝て、自分の物理的、精神的な力を補充していかな
くてはなりません。もし眠ることがなければ、人はスピリットのことを忘れ、
物質的な世界だけしか知覚できなくなるでしょう。
あなたがわたしを殺したら、それですべてが終わってしまうのですよ。
じきにあなたの目は干上がってしまうでしょう。
人生を続けるために欠かせない休息だってもう与えられなくなるのです」
そう言われて彼はまたもやその怪物を殺すことをやめた。
そして『疲れ』の怪物は人間と共にあることになった。
もちろんその怪物の言っていることに裏がなかったわけじゃない。
もしお前たちが日がな一日中寝てばかりいて、いく日もいく日も何もしなかっ
たら、やがて飢え死にしてしまうに違いない。
怠け者となって、あれも欲しいこれも欲しいと思いながら、結局は死ぬのだ。
なるほど生命活動にとって眠ることは欠かせないものではある。
しかし、よいかな、ただ何もしないまま寝てばかりいると、今度は先ほどの
『飢え』の怪物にしっかりと捕まってしまう。
そうなると嫌でも人は働かなくてはならない。
彼は考えた。
そして、この怪物は生きていたほうが人間のためになるし、必要だと判断し
て、またしてもこの怪物の命を助けてやることにしたのだ。

彼はさらに旅を続けて、そこで今度は四番目の怪物と出会った。
その怪物に向かっても、彼はこれまでと同じことを言った。
「人間の敵は昔やっつけたはずなのに、お前がまだ残っていたか!覚悟はでき
ているな」
そいつは『ケジラミ』の怪物だった。
彼はこれこそやっつけなくてはならないぞと思ったものの、ふと考えた。
『ケジラミ』だった目的があるに違いないとな。
そうか。
もし『ケジラミ』がいなければ、
人はわざわざ清潔にしておこうなんて考えないに違いない。
皆がときおり寄り集まって、『ケジラミ』を捕るために互いに髪をすき合うの
も、ちょっとした暇つぶしになっていいではないか。
『ケジラミ』を捕りあいながら、人は一族のなかで何が起こっているのか話し
合うことにもなるだろう。
『ケジラミ』を捕ってもらうのを口実にして、誰かのところに訪ねていくこと
もできる。
そして何よりもこの『ケジラミ』がいるおかげで、皆は何かと清潔にしようと
努力するからお互いに住みやすくなるのかもしれないな。
そう考えて、彼はこの『ケジラミ』も殺さないでおくことにしたんだ。
おかげでケジラミの奴も命を救われ、人と共に生きることになった。

『貧乏』 『飢え』 『疲れ』 そして『ケジラミ』
この四つの怪物は、したがってどれもそれぞれの持ち分のなかでなら、
いくら自由にやってもかまわないとされている。
この言い伝えを子細に検討してみれば、
なるほどとうなづける点があるはずだ。
確かにそれらには自分の人生のなかで、欲望と戦えばいいのか?
他人のことをどう考えたらいいのか?
何を着ればよいのか?
何を食べればよいのか?
彼(女)は疲れてはいないか?
彼(女)は清潔である必要があるのではないか?
こうしたことこそ問題にされなくてはならない。

わしの知る限りでは、真に人間のためになり、
人をして考えさえ、行動させるものは、なにはともあれこういう問題である。

こうして四つの怪物の命が助かったことを、わしもしみじみ良かったと思う。
さもなければ、わしらが人類のためによかれと思ってやってきた努力が、
全部水の泡となってしまうからな。                
                                          (Morey. Sylvester.1970)


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ホーガンと呼ばれる六角形の形をした家の中で焚火を前にして
一人のナバホ族のエルダー
(一族の中の年寄りや長老のこと)が語った物語です。
ネイティブ・モンゴロイドの聖なる教えの主要な部分として、
いかに道徳と倫理について理解することが大切かを、
この話は教えてくれています。
私の敬愛して止まないネイティブの本から引用した小さな物語…
   いかがでしたか?   

                (ネイティブ・マインド 北山耕平 著)